悪代官、いなさすぎにも、ほどがある

「越後屋おぬしも悪よのぅ~~」

「お代官さまこそ・・・・・」

「ハーッハッハーッハー」

もはや時代劇でもなかなかやらない、伝統芸能みたいな会話ですね(笑)

こんな風に善と悪がはっきりしているとモノゴトは比較的楽ちんです。
この悪代官と越後屋を切り捨てるか改心させれば一件落着。そして幸せな世界がやってくるのですから。

 
今僕らの目の前に広がっている世界は、どちらかというと悪意をもって悪いことをしているみたいな人はたぶんかなり少なくて、それよりも良かれと思ったり正義だと思っていることが互いに作用しあって不都合な状況を生み出している。

 

こうした考え方には根底にシステム思考(※)の発想があるのだけど、僕はこれを「悪代官はいない」現象と呼んでいて、わりと社会というものを考えるときのベースにしています。

 

※システム思考とは、事象を独立した因果関係で捉えるのではなく、互いに影響しあうシステムとして観る考え方です。システム思考をくわしく知りたい方は『世界はシステムで動く』(英治出版)がおすすめです。また本サイトで紹介しているビジネスシミュレーションゲーム「The Essentials」でも体験ができます)

 

そんな折、面白い映像を見つけました。

車がグラウンドをただぐるぐる回っているだけなのに、渋滞が発生するのです。

ふつう渋滞はトンネルや坂などのボトルネックが原因になって発生すると考えられています。それがまったくない環境で渋滞が発生する様子が55秒の動画になっています。

この度、名古屋大学大学院情報科学研究科の杉山雄規教授を中心とするグループは、交通 渋滞の本質的な原因はトンネルや坂などの「ボトルネック」にあるのではなく、車の密度が 高ければ「ボトルネック」がなくても自発的に渋滞が起きることを本物の自動車を使った実験によって明らかにしました。

(中略)

杉山教授たちは、一周230mの円周上の道に22台の自動車を並べて実験を行った。運転者は時速30キロで走り続けるよう指示された。初めのうち、自動車は自由に走っていれるが、誰かが速度を変えるとその影響は残響のように道を伝わって、車をしばし停止させるに至った。 ”

(名古屋大学 ボトルネックなしの渋滞:渋滞発生の物理的メカニズムに対する実験的証拠についてより)

 

グラウンドをグルグル回っているだけで渋滞が起きるって、ちょっと思いつかない(笑)

 

個別の対象(前でブレーキを踏んでる車とか)を悪者として攻撃するのではなく、どこにボトルネック(坂やトンネル)があるかをシステムとしてとらえよう、と考えている僕にとってこのあまりにも”悪代官がいなさすぎる”映像はかなりインパクトがありました。

 

そしてもしかしたら僕らの世界も、思っているよりさらに「悪代官はいない」のかもしれない、そんな思いがよぎりました。

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